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筑前 大刀洗 平和記念館

筑前町は筑後平野の北東部に位置し、その南部を筑後川がゆったり流れる人口3万人の地方小都市です。「筑前煮」にその名を冠していますが、これは北部九州を中心とした郷土料理で、地元では「がめ煮」と呼ばれています。「がめる」とは方言で寄せ集める意味で、レンコン・ゴボウ・にんじん・鶏肉などを煮込んだ料理として有名です。また昔は鶏肉でなくスッポンを加えたことから「かめ煮」が語源となったとも言われています。

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福岡からは九州道、鳥栖ジャンクションから大分道に入り、筑後小郡(おごうり)インターと甘木(あまぎ)インターの中間に、その「筑前町立大刀洗平和記念館」はあります。福岡方面からは甘木鉄道で大刀洗駅のすぐ近くです。「大刀洗」(たちあらい)の地名ですが、日本三大合戦のひとつ「筑後川の戦い」に由来します。南北朝時代1359年に菊地武光ら南朝方の軍勢4万が北朝方の少弐頼尚の軍勢6万を打ち破ったこの戦いで、刀を洗った川として名づけられたと伝わる「大刀洗川」から来ています。

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大刀洗駅前の信号から駐車場に入るとすぐ筑前町立「大刀洗平和記念館」があります。カマボコ型の建物はいわゆる「格納庫」をイメージした外観です。開館は9時から17時、入館料は大人500円、休館日は年末年始のみのようです。

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かつてこの地には東洋一を誇った日本陸軍の大飛行場がありました。大正8年1919年から昭和20年1945年まで、満州事変やシナ事変から太平洋戦争終結まで軍事空港として重用され、太平洋戦争末期には特攻「さくら弾機」の出撃基地ともなりました。その後特攻は薩摩半島の知覧(ちらん)に、東亜への出撃の中心を移すことになります。そしてついに1945年3月27日にアメリカ軍のB-29大爆撃編隊に1000発近くの爆撃を受けて壊滅するに至ります。

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記念館にはそうした隆盛から破滅までの道程が、詳しい説明や豊富な資料で展示されています。1階で目を引くのが「零式艦上戦闘機Y2-128」です。この型としては世界で唯一残存するゼロ戦です。

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搭乗者は海軍航空隊長柳村義種と言われています。これはマーシャル群島のタロア島のジャングルで発見され、1983年に40年振りにやっと米国から引き渡されたものです。これらゼロ戦の写真はこの記念館で唯一撮影が許可されている展示物です。

また邀撃機(ようげきき)も1機展示されています。これも世界で唯一残存する「九七式戦闘機」で、「屠龍」と呼ばれています。博多湾の水深3mから引き上げられ、渡辺利慶陸軍少尉が不時着したものです。

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この両機の上方を覆うように天井に、B-29のフレーム製のオブジェが展示されています。大きさは両機の4倍ほどの大きなもので、対比が実感できるようになっています。

胸を打つのは特攻で旅立つ若い兵士達のたくさんの「遺書」や「手紙」、「遺品」です。家族や愛する人に「明日は失う自分の命」を前に、どのような心境で自筆をしたためることができたでしょうか。

中央部の「追憶の部屋」では定時に20分でシアター映像を見ることができます。おばあちゃんと孫の男児の語り合いという設定で、大刀洗やこの地域の変遷、3月27日の大空襲の様子などをムービーやアニメ仕立てで印象深く伝えてくれます。当時近くにあった立石国民学校からの下校時間に、B-29の爆撃編隊が大分方面から筑後川に沿って来襲し、子供達が非難した「屯田の森」を直撃し、32名の幼い命が一瞬で奪われた事実があったことなどを教えてくれます。

爆撃というものは上空45度の敵機からまっすぐに投下された場合、確実に自分のいる場所に命中するのだそうです。

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2009年10月3日にこの大刀洗平和記念館は建立されました。館員の皆さんの応対はとても丁寧で親切な印象を受けました。色々説明して下さるし、上映時間にも声をかけて下さる。意見や要望を訪ねて下さる、そうした姿勢がすばらしいと思いました。何でも開館以来2年強でまだ来館者が40万人なんですよ、と恥ずかしそうにおっしゃっていました。広島の平和公園や原爆ドームのように、もっともっと多くの人に知ってもらって訪れて頂きたいのですと。

筑前町は「非核恒久平和都市宣言」を謳っています。この記念館は平和の有難さ、大切さを次代に語り継ぐための情報発信基地として、その役割と期待は大きいものを感じました。

重い空気を感じさせられましたので、いつもやってる「ひっち俳句の細道」流川柳を止めました。

悪しからず、今後にご期待下さい。m--m

    

 


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